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急性心筋梗塞患者におけるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬の検討

試料・情報の利用目的及び利用方法

試験の背景 急性心筋梗塞は世界的に主たる死亡原因のひとつであり、1990年代以前においては院内死亡率が20~30%と非常に高率であった。経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention: PCI)などによる早期の再灌流療法によって、心筋梗塞の治療成績は著しく改善してきたが、現在でも急性期死亡率は5~10%におよぶ1,2)。急性心筋梗塞に対する適切な急性期治療が行われ、患者が生存退院し得たとしても、心筋梗塞による心機能低下はその後の心不全につながる。近年、様々な心疾患の治療成績が向上した一方で、慢性的な心不全によって入退院を繰り返す患者が爆発的に増加しており、「心不全パンデミック」と呼ばれている3)。心筋梗塞などの虚血性心疾患は心不全の主要な原因であり、心不全の原疾患の約半数を占めると報告されている4)。
 心不全に対する薬物治療はめざましい進歩を遂げており、近年いくつもの新しいクラスの内服薬において、心不全における予後改善効果が報告されている。その中のひとつが、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(angiotensin receptor-neprilysin inhibitor: ARNI)である。大規模ランダム化比較試験の結果をもとに、最新のガイドラインにおいて、ARNIは心不全における標準的な治療薬として強く推奨されるに至った5,6)。急性心筋梗塞の発症早期からARNIのような心不全薬を使用することは将来的な心不全リスクを低減すると期待され、この仮説について検討したPARADISE-MI試験の結果が2021年5月に報告された7)。事前に設定された主要評価項目(心血管死亡および心不全発症)において、ARNIは従来の標準治療薬であるアンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme: ACE)阻害薬と比較して、有意なイベント抑制効果を示さなかった(ハザード比 0.90, 95%信頼区間 0.78-1.04, p=0.17)。しかし再発イベントを含めた解析では、ACE阻害薬と比べてARNIは有意にイベントを抑制していた。また興味深いことに、心筋梗塞に対して早期の血行再建(primary PCI)が行われた患者においては、ARNIのイベント抑制効果が有意に顕著であったと報告されている。以上よりわれわれは、特に早期にPCIが施行された急性心筋梗塞患者において、ARNIが心不全を抑制しうると仮説をたてた。
試験の目的 本研究において、急性心筋梗塞の発症早期からARNIを安全に導入することが可能であるかを検証する。安全性が示された場合には、有効性を評価する臨床試験を今後実施することも可能になると思われる。急性心筋梗塞を背景とした心不全発症は臨床上おおきな問題であり、ARNIが心不全抑制に寄与するようであれば、その意義は非常に大きいものと思われる。

1) Ishihara M, Fujino M, Ogawa H, Yasuda S, Noguchi T, Nakao K, et al. Clinical Presentation, Management and Outcome of Japanese Patients With Acute Myocardial Infarction in the Troponin Era - Japanese Registry of Acute Myocardial Infarction Diagnosed by Universal Definition (J-MINUET) -. Circ J. 2015;79:1255-62.
2) Puymirat E, Simon T, Cayla G, Cottin Y, Elbaz M, Coste P, et al. Acute Myocardial Infarction: Changes in Patient Characteristics, Management, and 6-Month Outcomes Over a Period of 20 Years in the FAST-MI Program (French Registry of Acute ST-Elevation or Non-ST-Elevation Myocardial Infarction) 1995 to 2015. Circulation. 2017;136:1908-19.
3) Shimokawa H, Miura M, Nochioka K, Sakata Y. Heart failure as a general pandemic in Asia. Eur J Heart Fail. 2015;17:884-92.
4) Yamauchi T, Sakata Y, Takada T, Nochioka K, Miura M, Tadaki S, et al. Prognostic Impact of Anemia in Patients With Chronic Heart Failure- With Special Reference to Clinical Background: Report From the CHART-2 Study. Circ J. 2015;79:1984-93.
5) McMurray JJ, Packer M, Desai AS, Gong J, Lefkowitz MP, Rizkala AR, et al. Angiotensin-neprilysin inhibition versus enalapril in heart failure. N Engl J Med. 2014;371:993-1004.
6) 2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療. https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/03/JCS2021_Tsutsui.pdf
7) Pfeffer M. Prospective ARNI versus ACE inhibitor trial to determine superiority in reducing heart failure events after myocardial infarction (PARADISE-MI). Presented at: ACC 2021. May 15, 2021.

研究期間

2021年承認後から2023年7月31日まで

利用する試料・情報

当院で急性心筋梗塞に対してPCI後の患者様の年齢、性別、血液検査所見、診療記録を利用する。

利用するものの範囲

東千葉メディカルセンター 循環器内科

試料・情報の管理責任者

東千葉メディカルセンター 循環器内科 佐野 剛一

本研究で得られた情報に関する手続き

本研究で行われる検査は通常診療で行われているものです。本研究により、直接的に患者に不利益を与えることはありません。また、個人情報を厳重に管理する体制等を整備し、公表時には個人情報の漏えいがないように行います。データ等は、東千葉メディカルセンターの鍵のかかる棚で保管します。

その他

本調査への参加を希望されない場合には、情報を用いる事はいたしませんので、下記問い合わせ担当者までご連絡ください。

問い合わせ担当者

東千葉メディカルセンター 
循環器内科 佐野 剛一
TEL:0475-50-1199(内線:7003)
文部科学省・厚生労働省による「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づいてHPに掲載しています。